ゴス頭巾ちゃん
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1246281418/
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:16:58.81 ID:iIspS9vf0
- 【ごあんない】
すこしおとな向けの不条理空想科学物語です。挿絵付です。
こんな方々にオススメです。
・「フードフェチ」 ずきんやフードがあればご飯3杯はかるいひと
・「ゴス娘好き」 ゴスロリ衣装より、ゴスな雰囲気や性格が好きなひと
・「SF大好き」 SF物ならなんでも大好きというカッチョイイひと
また、練られたストーリーや綺麗で素敵な物語や、萌え・エロが好き
そんな方々へは、楽しめないかもしれません。あまりオススメできません。
【ごちゅういください】
この物語は残酷な表現を含む場合がございます。
また、登場するキャラクターは全て18歳以上です。 - 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:17:42.87 ID:R9bF97nzO
- つまり赤ずきんチャチャのやっこちゃんか
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:20:48.95 ID:iIspS9vf0
- A Little Gothic Riding Hood. ゴス頭巾ちゃん
満月の月明りが射す時間
救いようの無い程の暗い失恋ソングを聴きながら
ちょっと高かったオーピーアイのオニキスブラックを塗りながら
これから始まる不幸な一日を空想しています
この娘の名前はヘレナ
お気にのフードが良く似合う
ちょっと根暗なゴスかわいい女の子
寝起きの気だるさと除光液の香りで
プチトリップをキメていると
ノックもなしに部屋の扉が開かれます
「エルザさんに御食事が出来たからって伝えて来て頂戴」
母ノルダの言葉は冷酷で強い
やれやれ深夜一発目からこれだよと
返す言葉を探していると
「あと出力が落ちてるからネレネの瞼紐も切って来てね」
言いたい事だけ矢継ぎ早に言うと
母ノルダは扉も閉めずに出て行きました
「あぁ、やっぱり私は今日も不幸・・・」

- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:23:59.01 ID:iIspS9vf0
- お気に入りのマフラーカーデを羽織り
特売で安かったヘンケルのぺティナイフを手に
ヘレナは重い足取りで母屋の裏にまわります
「ゴシックタウンの夜は早い・・・
・・・今日もまた薄幸の美少女が不運に・・・」
ヘレナはぶつぶつと
ひとりナレーションごっこをしながら
目印のあかりを探します
重素ランタンの仄青いあかりに照らされ
透き通る皮膚に覆われたネレネは
ブルブルと青く鈍く光ながら
幻想的でもグロテスクでもなく
ただ淡々と発電を続けていた
「ネレネの肌が透けている・・・
そろそろ夏至が始まるようね」
ヘレナはペティナイフを構えると
ゆっくりと、そして、馴れた手つきで
ネレネの瞼に差し込みます

- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:27:05.56 ID:iIspS9vf0
- 革紐で固く縫い付けられたネレネの瞼は
半年ぶりに月光を浴び
眩しそうに何度も何度も瞬きをしました
「あんたはいいよね
ただそこにそうやって居るだけで」
嗜虐心を煽るネレネの表情に
すこしばかり苛ついたヘレナは
ペティナイフで何度も瞼を突き刺します
「痛い?やめて欲しい?
ふふふ、喋れない自分って不幸だと思う?
でもね、ほんとうは喋れる方が不幸なんだよ?うふふ」
ひとしきり陰湿な遊びをつづけ
ちょっぴり気分が晴れた所で
ヘレナは用事がまだ残っていることに気付きます
「いけない、お婆ちゃんの所に行かなきゃ」
振り向きざまに踵でネレネに一発お見舞いすると
ヘレナはすこし離れた納屋の裏手にまわりました
「・・・あれ?扉が開いてる・・・」

- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:30:19.84 ID:iIspS9vf0
- 納屋の裏手にある地下室への入り口
普段なら重い鉄製の観音扉とかんぬきで
頑丈に閉じられているはず
しかし今は扉も開け放たれ
かんぬきも地面に落ちていました
「重いのめんどうだしいいんだけど・・・
誰がやったんだろ?」
しかし注意しなくてはならないのは
扉の問題より地下へ続く階段の方だ
大空洞の岩肌を切り崩した階段は
手すりなど気の利いた物はなく
一歩踏み外せば奈落の底です
「ふふ、落ちたら暗闇にまっ逆さま・・・
不幸な死にざま、ふふふ」
ヘレナの不幸な妄想がはじまり
そして足取りとテンションが加速
2段飛ばし、4段飛ばし
どんどんと加速していきます

- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:36:22.13 ID:iIspS9vf0
-
「ふふ、えいっ!、ふふふ、とうっ!」
ひとりスリリングタイム中のヘレナは
どんな死に様を呈するのか妄想で一杯だ
ひょっとしたら次の段で死ぬかもしれない!
ゾクゾクするスリル
しかし楽しい時間は無限に続かない
ヘレナの必殺18段飛ばしを最後に
最下層へあっという間に到着してしまいました
「何事もなく到着・・・・・
・・・・なんて不幸なわたし・・・」
さっきまでのテンションが一気に醒め
とたんに普段のダークオーラが纏わり付きます
しかしそのオーラに紛れて
いまだかつてヘレナが嗅いだ事のない
異臭が漂っているのに気が付きました

- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:39:09.36 ID:iIspS9vf0
- 「なにこれ!くっさい!」
最下層、階段ホールからしばらく
回廊の様な洞窟がつづく
そこから漂う異臭は
奥に進む度にキツくなっていきます
そしてどうでしょう
ついに到着した廊下の突き当たり
そこには見た事の無い金色の大扉
そして醜い太った男の彫刻
「よぉうこそ!WELLCOMEッッ!
私の名前はクサオ・トビラアセ!
今年で27歳!独身!血液型はDOOR型!
好きなタイプはスカーレット・ヨハンソン!
御用の時は左側、留守録なら右を押してねぇん?」
聞いても無いのに自己紹介をする
意思を持つこの扉の彫刻は
自らをクサオと名乗りました
見たところ臨時のゲートキーパーのよう

- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:40:29.10 ID:iIspS9vf0
- 「お婆ちゃん、また無駄な買い物して・・・
・・・それに何?臭くてたまらないんですけど!」
ゲートキーパーのクサオは
ヘレナの言葉も意に介さず
ポリポリとお腹を掻いている
「御用ならマスターにお伝えするわよ〜ぅ
なんでも言って頂戴ねん?プリチーガァル!」
あまりの異臭と気持ち悪さに
ヘレナは、だれが触るもんかと
持っていたペティナイフを深々と
クサオの左のゴールデンボールに突き刺した
「・・っ・・・・・あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぎぎぎぎぎ
ギギギギギギギギギギギギーーーー」
金切り声とはまさにこの事
声にならないクサオの悲鳴は
徐々に金属が擦れる音に変わりながら
体を半分に割り開いていった
その隙間が広がるにつれ
奥の空間からなだれ込んでくる
ひんやりとした冷気と霧状の気体が
クサオの異臭を追い出していきます

- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:42:52.30 ID:iIspS9vf0
- ゴゴと重い振動と共に壁に埋没するクサオ
そして開ききった先に広がるさらに広い空間
ここは「研究所」だ
冷気の雲が晴れると、丁度待ち構える形で
ヘレナの前に表れた格好良いフードマント姿
「おおヘレナか・・・なんだ、ノックくらいしたまえよ」
落ち着いた、だが良く通る声で話すのは
誰あろうエルザお婆ちゃんである
彼女は歳を取らない
ヘレナの母のそのまた母がヘレナ位の歳の時から
姿かたちはそのままであったと伝えられています
お婆ちゃんとは言っているものの
ヘレナの一家が代々面倒を見るだけで
その実、血縁関係も何もないのだ

- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:46:28.78 ID:iIspS9vf0
- 「おかーさんが食事が出来たって、呼んで来いって」
ヘレナは簡潔に用事を済ませ
早く帰ることしか頭にありません
「おおノルダが、そうか、もう土曜日になるのか・・・
おいネズミ君、そこのカレンダーを取って来い」
突然命令を与えられたネズ太郎は
挙動不審な動きで壁に掛けられた暦を持ってきた
「なにそのネズネズ?はじめて見たんだけど」
ヘレナが興味を示したネズ朗は
口元を革紐でシッカリ縫い付けられていた
まるでネレネの瞼の様に
「ああ、こいつか?どこぞの国よりの使者らしいが・・・
手が不足してたんでな、すこし手伝ってもらおうとね・・・
甲高い笑い声が頭にきたから口を縫い付けたんだ
どうだ?結構いいだろう?」
そう言いながら爪先でチュー太の腹を小突くエルザ
縫い付けられた口の端から篭った呻き声を上げている
その様を見てヘレナは、すこし欲しいかもと思った

- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:49:08.31 ID:iIspS9vf0
- 「そうだった・・・おい、ヘレナ
お前にも関係のある事だ、ちょっと手伝っていけ」
また始まった
こうなるとこの人は興味が醒めるまで動かない
ヘレナは己の不運を呪いつつ
今日の不幸の出だしはマァマァかしらと
不幸度の計算をしてみました
「そこに財布が置いてあるだろう?
ちょっと中身を確認してくれないか」
エルザの指した小型のスツールの上に
あきらかに場違いな男性用であろう皮製の財布が
所在なさげにポツンと置かれています
ヘレナが中身を検めると
免許証と幾つかのコイン
そして小さな写真が入っていました
「小銭しか入っていませんぜ?旦那」
ヘレナはポケットにコインを仕舞うと
財布を逆さまにして振って見せた

- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:51:36.76 ID:iIspS9vf0
- 「免許があったか?なら読んでくれよ
あと残念だが紙幣は先に私が抜き取ったからね、ふふ」
にやりと腕組みをしながら笑うエルザ
それなら自分でやれば良いのにと
聞こえない愚痴をこぼしながら
ヘレナは免許証を取り出した
「・・・ロリオッタ・多狼(たろう)、えーと29歳
本籍は南ドドイツ、あれ、オートマ限定だね、これ」
ほうと興味無さげに頷くと腕組みを解き
つまらなそうにチュー乃介を小突くエルザ
「写真は・・・あれ、この写真わたしのだ」
財布から出てきた小さなスナップ写真
隠し撮りと見られるその写真は
ブレていて見辛いが、よくよく見ると
ヘレナ本人のようでした
「わたし、有名人だったり?」
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:52:53.87 ID:iIspS9vf0
- それまで退屈そうにしていたエルザは
つかつかと歩み寄ると
その細い腕からは想像できない程の力で
ガシッと両側からヘレナの頭をつかみました
「ほれ、これをみなさい」
ぐいと研究所の奥へ頭を向けさせ
つづいてヘレナのチャームポイントの
視線を完全に覆うカールかわいい前髪を
無造作に両側に広げました
「わ、ロリオッタ・多狼だ
ぜんぜん気が付かなかったよー」
先の免許にあった証明写真
その姿と同じワーウルフがそこに居た
身の丈およそ6メートルはあろうか
研究所の中央から壁沿いの鉄骨へ
頑強なベルトと鎖で吊り下げられ
拘束されていた
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:54:41.20 ID:iIspS9vf0
- 「こいつ、おまえをストーキングしていたんだ
気が付いてなかったのか?」
前髪を整え直しながら
フルフルと首を振るヘレナ
「何度かおまえが地下室へ降りていく姿を見て
先回りして襲う予定だったのだろうな・・・
この私が居るとも知らず馬鹿な狼だ、くく」
なるほど、そう聞くと先の写真は
納屋の裏手の風景のものだったかもしれない
ヘレナはストーカーされていた事実に
さして衝撃を覚える訳でもなく
それって何ポイント位不幸なのかしら
と、そんな事をぼんやり考えていました - 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:56:10.48 ID:iIspS9vf0
- ・・・
・・
・
「という感じで気絶させ拘束したわけだ
詳しく説明すると良い子が悪い子になるから
手順は言えないけどな、ふふふ」
よく解らない専門用語と身振り手振りで
ロリオッタ・多狼をいかに捕まえたか
楽しそうに聞かせるエルザ
適当な相槌を打ちながら聞き流し
この人は精神年齢も歳を取らないのね、と
そう呟いてみたら一体どんな顔をするだろう?
そんな根暗な想像をしながらヘレナは
くふふと含み笑いを漏らしました
「そこで、先に説明した実験に協力してもらおうと
この多狼君に頭蓋を開いてもらっていた訳だよ」
話の区切りと同時に指された方へ目を向けると
ロリオッタ・多狼の頭骨がパックリと割り開かれ
胡桃の様な脳髄がむき出しになっていました
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:57:13.45 ID:I9dUTwhj0
- 不思議な世界観だ
だがそれがいい - 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 22:58:48.37 ID:iIspS9vf0
- 「私が準備を終えたら合図をするからな
そうしたらそこのありきたりなデザインのレバーを
力いっぱい引いてくれ、頼んだぞ」
そう言うと遠足前のガキンチョの様な
居ても立ってもいられない、そんな足取りで
エルザは訳の分からない装置を手に
右に左に準備をすすめています
「(ああ、もう有無も言わせずにまた・・・
きっとこうして帰れなくなるのよ、ふふ、最低・・・)」
ヘレナは遅れてらじゃーと敬礼すると
どこにでもありそうだと言われたレバーの
ハンドル部分に手を掛けた
「・・・ナノミスト濃度よし、電圧来たか?・・・よし
ネズ助は3番のスイッチを入れろ!・・・よし、いいぞ!」
レバーを引けとの合図を受け
ガギンと重い金属音と共に
ヘレナの手からレバーの抵抗感が消えます

- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:04:20.76 ID:iIspS9vf0
- 「抜けましたー!」
研究所に響く連続した電気的重低音と
無機質なブザーの耳障りな音が
何故かその瞬間だけは
とても静寂な空気を伝えていた
「こ・・・ばかーーー!」
しかし静寂は一瞬で打ち破られた
怒号を上げながら詰め寄るエルザ
「どこのどいつだよ!?え?
こんな入力方向が限定されてるレバー!
どう考えたら上に引き抜く発想するんだ!
この・・・おばかーーー!」
頭巾はやめてくださいと
あたまを必死に庇うヘレナ
やり場の無い怒りの矛先を
ネズ太郎に向けるエルザ
ぐもーぐもーと
悲鳴か命乞いか分からない
縫い付けられたもごもごボイス
ネズ乃進はグッタリと身を横たえ
そのまま酸欠で気絶しました - 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:10:03.79 ID:iIspS9vf0
- 「・・・いいか?このレバーを、こうやって・・・
手前の方向に倒すんだ・・・わかるか?」
馬鹿でも分かるようにと
目の前で実演して見せるエルザ
「おー」
おーじゃない、おーじゃないぞ
次は頼んだからな、と何度も言い聞かせると
先と同じく右に左にとコマの様に動き回った
「・・・よし!いまだ!!!
手前に倒すんだ!レバーを!」
一人でやれば良かったかなと後悔しながら
今度はシッカリと出力方向へスイッチしたのを確認し
エルザは実験が成功に向けて一段階進んだ実感を得た
ぐぉぉおおおおぉぉぉ〜〜〜ん
キィィイイイイイイ〜〜〜ン
しばらく続いていた重低音が止み
変わりに耳をつんざく高音が鳴り響くと
ロリオッタ・多狼を中心に爆風が吹き荒れた - 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:11:28.04 ID:iIspS9vf0
- 「わ、わ、ちょ」
大音響と爆風が荒れ狂う状況に
ヘレナはその場にへたり込んだ
「ナノミストが帯電しながら蒸着している、見ろ
中心は右回り、外側は左回りの風が吹いている」
そんな余裕ないよー
地面にしがみ付くだけで精一杯のヘレナ
一方エルザは、まるで地面に張り付いているかの様に
その場に立ったままマントをバタバタと靡かせています

- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:13:14.57 ID:iIspS9vf0
- しばらく続いた竜巻状の暴風は
バリバリ響く雷の様な音の出現と共に
ピタリと止んだ
「よし、いいぞ!ナノミストが定着したようだ
あとは電解中に目を覚まさなければ完璧だ!ふははは」
フードマントをバサッと開き直し
腰に手を当てて高笑いをするエルザ
あのフードマントはきっと良いものだ
いつか手に入れたいと邪な視線を送るヘレナ
そんな二人を見下ろす格好で
天井より吊り下げられたロリオッタ・多狼は
白い霧に包まれガクガクと痙攣しています
「そういえば聞いてなかったけど
これ、一体何の実験なの?」
こいつは何も聞いていないんだな
馬鹿なんだなと、エルザは一人で何度も頷きます - 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:13:29.34 ID:IYDFhIJ/0
- なかなかの絵と世界観
興味深い - 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:14:14.85 ID:QgBJk1gw0
- あらお上手だこと
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:15:18.60 ID:iIspS9vf0
- 「いいか?もう一度だけ説明するからよく聞きなさい
あそこに八角形の基盤を組み合わせた装置があるだろう?
あれが多重積層型量子電脳『ダークワン』だ」
そういえばそんな話も聞いたかもしれない
広い研究所の奥に鎮座している多面体の機械
ああそういえばそんなのあったねと適当に頷いた
「そしてナノマシンによって電気的に分解した対象を取り込むんだ
みろ、多狼くんは皮膚から筋肉、骨まで情報化されてゆくぞ」
ガクガクと震えていたロリオッタ・多狼は
その身を包む霧に浸食されるままに
徐々に皮膚が薄く溶け、筋肉や骨が蒸散していきます
「ほえー」
ヘレナはようやく、どうやらロリオッタ・多狼は
変な機械に吸い込まれているようだ
そんな適当な理解をしました

- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:19:52.54 ID:iIspS9vf0
- 「ふふふ、やったぞ!成功だ!
多狼くんの情報化に成功したぞ!」
みろ、とエルザがいつの間に設置したのか
旧型ブラウン管の付いた端末に手をかざしました
すると鈍い電子音と共に画面が浮き出てきます
「あ、ロリオッタ・多狼だ」
ぐああとノイズ雑じりの呻き声を上げ
グニャグニャと容を変えながら
しかし大きな目と口と牙は
紛れも無いワーウルフのもの
そんなシルエットがザリザリと映し出されました
「これで多狼くんは情報として蓄積された
・・・次はこれを再構築するんだ・・・
二度と下衆な真似を出来ないようにな」
ああ、それで私にも関係があったのだなと
ここに来て実験の目的を完全に理解したヘレナは
すこし興味が出てきました
「ほうほう、これはこれは大したものですな!」
ヘレナはオッサン臭い返事をしながら
腕を組んでうんうんともっともらしく頷きました

- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:23:10.43 ID:iIspS9vf0
- ひとしきりロリオッタ・多狼の分解ショーを楽しみ
余す所なく分解された事を確認した二人は
研究所から隣の「電算ルーム」へ場所を移しました
本来ひとり気ままに研究をするエルザの聖域であり
来客は稀にあれど、客をもてなす事など全くなく
それに見合った調度もありませんでした
「先生!しつもんがあります!
わたくし、どこに座ればいいのでしょうか?」
嫌味を含めたわざとらしい丁寧語で
エルザの「他人を無視した行為」を遠まわしに
しかし解りやすく突っつくヘレナ
「・・・そうか、おまえも居たんだったな・・・
そうだな・・・そこのオットマンにでもかけてくれ
おい!そこのクズネズ!ここで丸くなって座るんだ」
いつの間にか意識を取り戻したチュー吉は
端末の机と椅子の間に体育座りをさせられ
さらに背中にドッカリと両の脚を乗せられました
ヘレナはその上からもたれ掛かると
足をブラブラさせてネズーチョを蹴りながら
端末に映し出された映像をぼんやりと眺めていました

- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:29:02.55 ID:pMxbJMtL0
- 絵本化してほしい!
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:29:54.37 ID:I9dUTwhj0
- 大人向けの絵本か
予約して買うわ - 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:29:28.74 ID:iIspS9vf0
- 「ワーウルフってこんなに脳みそ小さいんだね
半分人間なのに・・・」
きっとおまえの方が小さいのだろうよと
出掛かった言葉をのみこみ、小さく含み笑いをすると
エルザは端末に繋がるキーボードに手を伸ばし
カタカタと小気味良い音を立てながらこう述べました
「脳は大きさより、その情報量で価値が変わるものだ
みろ、こいつはサイズこそ小さいが、そこそこの情報を持ってる
記憶の層が脳の皺になって見えるだろう?」
そう言うと矢印マークのカーソルで
脳の画像の色々な場所を突付き回り
ドコがどうなってるから凄いだの、これが悪いだの
ヘレナには全く興味のないウンチクを語り始めた
「・・・という訳だ。では最も根幹に当たる部分をみてみよう
ここだ、ここにコイツのルールブックが隠されている」
画面の中の脳みそが
子供用の積み木のように分解され
核に当たる長細い部分が映し出されます
「ふふふ、こいつの頭の中は食欲と性欲で一杯だぁ・・・
・・・これらを全部、すっぱりサッパリ消してしまってだな・・・」
画面操作が早すぎて
元から意味が分かってないヘレナには
もはや何が何だかサッパリです

- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:32:10.35 ID:iIspS9vf0
- 「ふむ、そこのディスクの束を取ってくれないか?
ああ、それだ・・・ありがとう」
指示された棚には
子供用の知育ゲームソフトやドラマのDVD
古いクソゲーの山が並んでいました
「・・・ハウアーユー奇手井(きてぃ)のさんすうあそび・・・
パソコン理科ゲーム、知的シリーズぱこちゃん・・・なにこれ?」
エルザはにたりと笑みを浮かべながら
渡されたディスクを次々と端末に入れて行きます
「解りやすく多狼くんを絵にしてみよう・・・そら」
新しくウインドウが開かれ
子供向けアニメの様なキャラクターが現れました
しかしワーウルフというよりタヌキに近く
どこから見ても間抜けにみえます
「あ、ちょっとカワイイかもー」
そんなキャラクターの画像へ
凄まじい速度で数字や文字のデータが被さって行きます

- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:36:27.14 ID:iIspS9vf0
- 「少女ばかりを狙い、食欲と性欲しかなかった人狼が・・・
ふふふ、どうだみてみろ、もうこんな知的な姿に!・・・ふふ」
エルザがウインドウの端をカーソルで突付くと
キャラクターの画像が前面に拡大され
先のキャラクターが変貌していく様が良く見て取れます
子供向けのソフトしかなかったのにー
でもこんなに簡単に勉強が出来るなら
ちょっとうらやましいかもー、とヘレナがこぼすと
「ふふ、そうかい?それならいつでも協力しよう
脳を提供してくれればね、ふふふふふ」
すこし置いて意味を理解したヘレナは
頭を抱えて頭巾を深く被りなおし
かんにんしてくださいと何度も繰り返します
そんなやり取りの中
画面のロリオッタ・多狼のキャラクターは
いつのまにか学者風に変貌し
コミカルな動きで数式を解き始めました
「グレート!すばらしい!なんという吸収力!
もはやこいつの脳のレベルはマサマサチューチュー工科大学に
素で入学出来る程だ!・・・これほどまでとは・・・すごい、すごいぞ!」
エルザはその成長ぶりに大興奮
嬉々としながら画面を食い入る様に見ていた

- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:39:00.05 ID:iIspS9vf0
- しかし、しばらくしてその様子が一変し
真剣な表情、そして鬼気迫る表情へと変わっていく
「すごいねー、いろんな表情するねー」
ぼけぼけとエルザの顔を眺めてたヘレナは
のんきにそんな事を呟きながら
へらへら笑っている
「・・・ば、ばかな・・・こいつ・・・吸収して自己進化を・・・
そうか・・・ライカンスロープならば・・・あるいは・・・いやしかし・・・」
なにがどーなのよ、と
置いてきぼりのヘレナが頬を膨らませながら
もたれ掛かったエルザの膝を揺らす
とてつもない異変が起きていた
高度な知性を獲得したロリオッタ・多狼は
どうやら『ダークワン』を取り込み、さらに一体化し
より高度な生命体に自己進化したというのだ - 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:41:06.36 ID:iIspS9vf0
-
バツンッ
ゴガン!
ドドドドドゴゴゴゴゴゴォォォ
ARRRRRGGGHHHhhhhhhhh!!!!!
「!!!」
─ 突然!
それは突然の出来事でした
それまで必死に喰い止めようと
エルザが試行錯誤していた端末の画面が
ぷつんと音を立て真っ黒になったかとおもえば
隣の研究所から
先の実験の時と同じ轟音が響き
暴風がなだれ込んできました
「じ、実体化するだとっ!!!!」
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:44:32.48 ID:iIspS9vf0
- 端末は依然沈黙したままです
隣で一体何がおきているのか?
二人は暴風に耐えながら
研究所へ急ぎました
「・・・ナノミストが・・・ポンプの制御系を乗っ取ったか!
・・・くっ・・・そうはさせん!」
エルザは研究所の壁に備え付けられた
ガラスケースを叩き割ると
中から消火用の斧を取り出した
「よくきけ!これからナノミストポンプを破壊する!
だが通電中はいくら破壊しても自己修復してしまう!
そこでさっきの手を使う、ブレーカーを一時的に開放するんだ
いいか?今から私が合図をしたらさっきのレバーを反対側に倒すんだ!
・・・いいか?レバーを!反対側へ倒すんだぞ!?」
含みを持たせ、早口で沢山の情報を伝えると
エルザは『ダークワン』の方へ掛けていった

- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:46:21.70 ID:iIspS9vf0
- いっぽうヘレナは吹き荒れる暴風で
せっかくセットしなおした前髪が崩れてしまい
うんざりしながらトボトボとレバーへ向かいます
「・・・・・ぉ〜〜〜〜ぃい・・・・・いまだぁ!!!・・・」
研究所の反対側より
『ダークワン』の前で斧を掲げ
エルザが合図をおくってきます
「・・・えーいしょっと・・・」
ヘレナはレバーに背中から寄り掛かると
全体重をかけて一気に倒しにかかった
しかし予想以上に軽いヘレナの体重に
時間を掛けてゆっくり
とてもゆっくりと倒れるレバー
そののんびりした風景は
この緊迫した状況の中では
時間が止まっている様にも見えます
「くそっ!・・・あいつ・・なにをしている!!・・・
・・・まにあわん!まにあわんぞ!・・・くっ・・・」
レバーが倒れきるまで間に合わない
エルザはそう判断し、斧を振り下ろした

- 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:47:42.45 ID:iIspS9vf0
-
ドクンッ
静寂!
耳をつんざく轟音と
雷鳴を上げる高音の嵐が
ピタリと止んだ
研究所内を支配する静寂
そして
エルザの視線の先
研究所の中央
そこには
白い霧に覆われた
繭の様な球体が存在していた
いままで研究所内を漂っていた
肌がピリピリする空気に変わり
どこか生暖かい
ゆっくりとした空気が
中央の繭から漂ってくる
「・・・く・・・間に合わなかったか・・・」 - 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:49:43.97 ID:iIspS9vf0
- 静寂が支配してから
初めて発せられた音
それはエルザの後悔の声でした
その始めての音に反応する様に
研究所中央の繭状の物体が
シュルシュルと音を立てて
霧散していった
『・・・ィィィィ I t’s Y O U ゥゥゥゥ !・・・』
電子音とも動物の声とも違う
岩石を擦り合わせた様な声で
霧の中からそう叫び声がします
まるで削り取ったような
金属でも岩でもない
しかしとても頑強であろう
甲殻類の様な鎧をまとい
おぞましく変貌した姿
それが声をあげ
実態としてそこにいた

- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:53:04.61 ID:iIspS9vf0
-
「・・・あー、ロリオッタ・多狼・・・かな?・・・」
緊迫した状況を破壊する
マイペースでゆったりとしたヘレナの声
「ずいぶん変わったけど、可愛くないっていうか・・・
・・・くっさいのよりはいーけどさ・・・」
この娘は状況がわかってないのか!・・・しかし好機!
エルザは自分にしか聞こえない小さな声でそう呟くと
手にしていた消火用の斧を
ロリオッタ・多狼に投げつけた
『・・・』
シッ
ノーモーション!
初動が完全に見えない動きで
人差し指と親指の間で斧が止められました - 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:55:28.90 ID:iIspS9vf0
-
『 あのさ、判ってると思うけど物理的に無理ですから
あと、ヘレナちゃん、あなた、見かけと全然違いますね
ボク、幻滅しちゃいましたよ・・・はぁ・・・』
なんの前触れなく
ノイズの無い綺麗な声で
流暢に会話を始めたロリオッタ・多狼
まるで鼻糞を丸めるように
斧をグリグリと潰しながらそう言いました
『 この力、感謝しますけどね、なんというか・・・
まぁ、あなたには同じ様に拘束させてもらいます
あ、あとヘレナちゃんはボクと同じく脳を再教育しましょう』
そうだ、そうれがいい、と
勝手に話を進めながら
ガチャガチャと変な笑い声を立てるロリオッタ・多狼 - 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 23:58:07.09 ID:iIspS9vf0
- 「・・・ここまでか・・・
せめて・・・せめて電源さえ落とせれば」
『ダークワン』をちらと見たエルザが呟く
続けてヘレナとレバーに目を向ける
「・・・んーーー・・・
な、なんか・・霧が押さえてて・・・動きませーん」
ヘレナが軽いだけでは無かった
ナノミストを制御したロリオッタ・多狼は
いち早くレバーに手を回していたのでした
『 さぁ、貴方たち、いい加減あきらめて下さいよ
ボクは、これから世界を手に入れたりするるので
暇じゃないんですよね・・・』
もはやこれまでかと覚悟を決めたエルザ
もういーんですか?とレバーから離れ前髪を直すヘレナ
ロリオッタ・多狼は
ふたりのその様子にすこし満足しながら
鎖を大量に元素生成していきます
ナノミストが集積され、実体化し、鎖に変わっていく
そんなシーンをただ淡々と眺めていたヘレナ
それが自分達を拘束するものだと今になって理解し
不幸ポイントがインフレだわ、と何故か嬉しそうに嘆いた
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:02:18.37 ID:tyL2+BfR0
- バツンッ
突然破裂音の様な音と共に
研究所が真闇に覆われた
「な・・・これは・・・電源が落ちた!?
どうしてだ・・・いや・・・今だ!」
エルザは振り返ると
『ダークワン』に駆け寄り
手探りでメインチップを抜いた
・・・
・・
・ - 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:07:51.76 ID:tyL2+BfR0
-
・
・・
・・・
「そうか、おまえがネレネの眼球を・・・本来叱責ものだが
・・・いやはや偶然とはいえ、いや、よくやったぞ!」
そーかな?えへへ
ヘレナの執拗な虐めが功を奏し
自閉症を併発したネレネによって
出力回路が遮断された・・・
それが事の顛末だったようです
「・・・不幸がステータスなゴシックタウンだけど
結局、本当の不幸にはなれないのね、わたし・・・まぁいいけど」
ふふふ、と顔を見合わせて笑うふたり
研究所はもはや霧も晴れ
安堵の空気だけが流れていた - 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:09:17.11 ID:tyL2+BfR0
-
「さて、そういえば何しに来たんだっけ?」
このオトボケ村のヘボ娘は
脳を本気で解析したいところだ
そんな思いを不適な笑みに変え
エルザはたったいま思い出した様な
わざとらしい演技でこう述べます
「あー、夕食だったね、だろ?」
ヘレナは本気で忘れていた様
心から納得した様子で
ひとりで何度も頷きました
「じゃーさっさとここから出ましょ!」
お・し・ま・い

- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:10:06.89 ID:7/WmaBec0
- 乙!
面白かった、ありがとう - 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:10:30.37 ID:tyL2+BfR0
- なーんてウソ!
まだちょっとだけ続くんぢゃ・・・
一方その頃
ぎーこ
ぎーこ
研究所の片隅で
一心不乱にのこぎりを引く
暗い湿った影がひとつ
ぎーこ
ぶつん
ばかり
grrrrr
お、おいらが・・・
し、しんせかいの・・・
ま、まおうなんだな・・・
い、いちばんなんだな・・・・
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:13:37.73 ID:7/WmaBec0
- いいお話をありがとう
- 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:20:05.49 ID:wZSabZ7w0
- >>1
ありがとう!大好き
絵本化してー - 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:21:39.94 ID:Prxd+VXy0
- >>67
はどう考えても蛇足 - 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/30(火) 00:25:37.91 ID:YYEPd1sz0
- うん
なかなかいいじゃん
昔話に(^O^)を登場させてみたgdgd覚悟で安価でマンガ描きたい
ジョジョの奇妙な冒険 スター出すと狂せいだっす
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>>42926
鉄おちんぽみるく宰相ビスマルク
鉄おちんぽの持ち主格ゲーのセリフに「うんこ」をつけるスレボディがうんこだぜ は反則だろw